リフレクションを学ぶ!リフレクションで学ぶ! Vol.3
上條晴夫さんインタビュー

2021年8月29日更新
これは何のためにインタビューしてるんですか?
- 上條
- 伊原さんは、これ何のためにこのインタビューしてるんですかって話に戻るんです。 上手にインタビューするのが目的なわけじゃないでしょ?何のためにやってるんですかという話になってくる。
今喋りながら自分はどういう学び方をしてるのかを振り返ってるかどうかですよね。「そうか、こんな変な世界があるんだ」って思いながらモヤモヤしてるのか、「そういうアプリがあるんですね」って思っているのか。そういうアプリがあるんですね。そのアプリに使い変えたら、どうなったんですか?という質問に聞こえたので、めちゃ答えづらいわ〜。
- 伊原
- なるほど、つまり私がリフレクションという学び方、アプリを教えてくださいって言っている側の、「素晴らしい学びがあるなら教えてください」って言っている側の質問にに聞こえたということですね!
- 上條
- 自分が今、どこに立っているのかわからない感じがしたんですよ。
- 伊原
- たしかに、「素晴らしい方法を教えてください!」っていう学生の聞き方だった気がします。
- 上條
- 途中から、「それってどういう風に効果があるんですか?」とか、「どんな風に変化したんですか?」という、自分と関係ないものとして、地続きでないものとして聞き始めたなって感じたんで。
- 伊原
- わ〜、それは全然気づかなかったです。
- 上條
- 僕がインタビューにあたって、「何かに導入するつもりで僕の話を聞いてくださいね」とお願いしてありますが、その場は、現在どんな風に運用されているんですか?
- 伊原
- 特に既にある場をイメージしているというよりは、新しい学びの場を、新しくやってみたいと思っていました。
- 上條
- 古いやつはどうなっているのかというのを聞きたいんです。通常伊原さんが学んでいる場がどうなっているのかを聞きたいんです。そのことを抜きにして、新しいのくださいって言っているような気がする。
- 伊原
- そういう意味では何か既存の学びの場をイメージしてはいなかったです。
- 上條
- 逆に言うと、リフレクションしたこと本当にないですかってことです。ないものを入れるという感覚になってると思うんですよね。今。
でも、実は伊原さんもリフレクションしています。だから今話しを聞いた範囲で自分がやっているリフレクションを思い出して欲しいんです。そうすると近づけるんですよ。私たちは。
例えば「振り返り」って言葉を使っていたでしょう?伊原さんの中にあるリフレクティブな学びって、そういうところにあるんですよ。
そういうことを、ないことにしちゃってる。今一瞬にして。そういうときに何をしていたのか思い出して欲しいんです。
- 伊原
- そうですね。振り返りをすることはあります。
- 上條
- どういう風に振り返りをしてますか?
- 伊原
- ワークショップが終わった後、よかったこと、課題に感じたこと、もっと良くできること、という視点で振り返ることがあります。
- 上條
- 行動レベルじゃないものは、振り返ったことないですか?
- 伊原
- リフレクションをやってみようという、リフレクションを意図したワークショップでは、感情とかその奥にある価値観とかまで振り返り、フィードバックをしあいました。
- 上條
- リフレクションというお題目を立ててワークをしたというのは、いつ、誰とやったのですか?
- 伊原
- 先週、自分が所属しているコミュニティの中で「リフレクション実践会」というのをお友達と一緒に立ち上げて、開催しました。
- 上條
- どんな風にやったのですか?
- 伊原
- 熊平美香さんの「リフレクション」という本を読んで学び、それを参考にして、嬉しかったエピソード、それがどんな出来事だったのか具体的なこと、その時にどんな感情になったか、そして、そこから見えてくる、大切にしたいこと、大切にしている価値観を書き出して共有し、お互いにフィードバックするということをやりました。
- 上條
- それは、リフレクションですよね。
「それはどうでしたか?」と聞くこともできますよね。
- 伊原
- リフレクションを学んでみよう!みたいな感じでやっているので、上條さんのいう実践の場とは違うイメージを持っていました。
- 上條
- それでいうと、さっきの私の分類でいうと、「リフレクション”を”学ぶ」であって、 「リフレクション”で”学ぶ」ではないもしれませんね。
リフレクション”を”学ぼうとすると、学べなくはないけれども、あるところで留まってしまう。
だけど、「リフレクション”で”学ぶ」という風にすると、少しステージが変わりますよ。 というのがさっきの話なんですよ。これがOSとして学ぶということ。
- 伊原
- なるほど!「リフレクション”を”学ぶ」のと、「リフレクション”で”学ぶ」の違いですね。
リフレクションを使ってやってみたいこと!
- 伊原
- 最後に、田原さんの話をリフレクティブな学び方で構造化してみたいというお話を聞いてるんですけれども、他にリフレクティブの学び方を使ってやってみたいことはありますか?
- 上條
- 田原さんって面白い人だと思ってるんですけども、田原さんがもし理論的なものを作っているのであればそれを学ぶ時のその場を何回かやってもいいなあと思っています。 いろんな人たちと組んでやってみたいと思うんです。 すでに、認知症介護の人達ともやってるし、インプロの人、小学校の先生、学生、コーチングでもやっています。いろんなものと組めるし、いろんな組み合わせ方が可能なはずです。
- 伊原
- 田原さんの理論的なものを、この学び方では学んでみるのは面白そうですね。そこは是非やってみたいです。 あと、上條さんの新しい本「リフレクションを学ぶ、リフレクションで学ぶ」も、もうすぐ手元に届く予定です。この本を使ってリフレクション”を”リフレクション”で”学ぶをやってみたいです。
- 上條
- その場を作るっていうことを是非やって欲しいなと思います。
- 伊原
- ありがとうございました。
プロフィール
上條晴夫(かみじょう はるお)
東北福祉大学教育学部教授。特定非営利活動法人「全国教室ディベート連盟」理事。リフレクションlab理事長。著書に「こどもとつながり、学びが広がる!オンライン授業スタートブック(学事出版)「理想の授業づくり」(ナカニシヤ出版)「実践・教育技術リフレクション あすの授業が上手くいく<ふり返り>の技法①身体スキル」(合同出版)「リフレクションを学ぶ!リフレクションで学ぶ!」(学事出版)など多数。
伊原淳子(いはらあつこ)
自己組織development運営メンバー。茨城県在住。銀行勤務、モンテッソーリ教室講師を経て、2019年に、学び・組織・社会のパラダイムシフトを目指して活動している集合体「トオラス」に出会い、「自己組織化」についての学びを続けながら、地域のコミュニテイづくりも。2020年より手放す経営ラボラトリー研究員。「お互いのニーズやパーパスに耳をすませたとき、絶妙でより面白い未来像が現れる」そんな場作りを通して、一人ひとりが本来持つ力を解き放ち、共に創ることを喜び合えたら嬉しい。