自己組織化している組織じゃないとブランディングできないvol.01

株式会社アム 岡本佳美さん × 自己組織Dev. 田原真人
ブランド経営のコンサルティングを行う会社を経営する一方で、認定NPO法人フローレンスに立ち上げから関わり、副代表や理事として事業型NPOのブランド戦略に関わってきた岡本佳美さんは、「今は、自己組織化している組織じゃないとブランディングできない」と言い切る。その真意はどこにあるのか、うかがってみました。

“成果を上げるためにいのちを犠牲にする”という社会の現状をどうにかしたい

田原
今日は岡本佳美さんと田原で自己組織化とブランディングのお話しをしてきたいと思います。 岡本さん、自己紹介をお願いします
岡本
もともと広告の仕事、マーケティングの仕事がやりたかったので、いわゆるビジネスセクターで広告、マーケティングの仕事をしていました。
その後、事業型NPOというものが日本に輸入され始めた初期のころ、子育て支援のNPOフローレンスが立ち上がるタイミングで、代表理事駒崎弘樹の創業を副代表として手伝うことになりました。それが私のキャリアの大きな分岐点になったんです。

ビジネスセクターでそれなりに一生懸命仕事をしてきたから、役に立つだろうと思ってその世界に足を踏み入れてみたら、意外と過去のノウハウが一切使えなかったんです。
作法が違うとか、環境要件が全く違うとかゲームのルールが違うとか、使えない理由はいろいろあるんですが。
そこで、いちから発明していった体系というのが割とうまくいったんです。
うまくいった時点で感じたのは、そもそも予算がないから考えたやり方だったけれども、これは予算のあるなし関係なくビジネスセクターでも事業型 NPO でもビークル関係なく使えるなと思ったので、それをパッケージ化していったというのが今までのプロセスです。
田原
なるほど、自分のプロセスに重なるなあと思って共感して聴いていました。

僕は今海外に住んでいてオンライン中心の生活になっているんですが、主体的な学びとか反転授業というのに関心を持った時に、使える手がオンラインしかなかったんですよね。それがすごい制約で。
それまで僕は予備校の講師でマイクをつけて100人の前で授業してたのでリアルの場が実はすごく強いんですよ。リアルの場で場を制する、掌握するのが実はすごく得意なのに、オンラインの場になって、それが使えなかった。
オンラインで学習者中心の主体的な学びのオンラインワークショップを、主体的な学びに関心のある教師の人たちとやっていったときに、受講生がどんどん脱落するんですよ。
脱落しないように、参加者が自分から動けるような環境をひたすら整えていきました。参加者のいろんなことをひたすら受容していく、受容的な場をつくっていく、そうすると、そこからシナジーや集合知が生まれ、人と人とがつながりあうような場になっていったんですよね。

それができたときに、あれ、これリアルでも同じだなと思ったんです。
オンラインという制約があったからそこに行くしかなかったけど、そこで見つけたものはリアルでも同じで、いわゆるアクティブラーニングの原理に近い部分に触れたなという実感があったんです。
それも、制約がなかったら、そこまでいってないんですよね。
オンラインというの制約があったからそのチャレンジをせざるを得なかったんです。
岡本さんの事業型NPOという制約があったから、そこにチャレンジすることで扉が開いたという物語とシンクロしているなと思って聴いていました。
そういう側面もありつつ、岡本さんの話にはすごく関心があります。

“成果を上げるためにいのちを犠牲にする”という社会の現状をどうにかしたいと思っているんですが、“成果を上げること”と”いのちを大切にすること“の二項対立を超えられない。
その一つの理由に、”お金がないとブランディングできない“とかそういうのが結構楔としてささっているんですよね。
でもその楔を岡本さんが抜く可能性を示してくれたと僕は捉えているんですよね。その観点からすると、岡本さんのブランディングの話は、どういう風に語ることができますか?
岡本
まさに一番最初に感じた制約は予算の制約だったんですよね。もともと私がやっていた仕事はいわゆる大企業で、電通や博報堂に普通に発注するような会社だったので、予算が億単位なわけですよ。「300万円だとチラシしか刷れませんね。」という世界。 そういう世界から、フローレンスに来たら、予算がないわけですよね。思いつく施策全てにすごく予算がかかり、これまで与えられていた予算が特殊だったことに初めて気づいたんです。 そして、予算が制限されることと同時に紐づくのが人材なんです。 今までだったらクリエイティブ部門やリサーチ部門など、あらゆるブレーンとチームを組めたのに、フローレンスでは私と駒崎しかいない。 チームはあるけど、大学生のインターンだったりするわけです。もちろん彼らの能力は高いんだけど、今までのようなプロフェッショナルをスペシャリティとして使っていくのとは違うので、それが二つ目の制約でした。 そして、3つ目の制約がありました。 それまではマスマーケティングだったから、問い合わせがいっぱいきても怒られた経験はなかったんです。(=大企業で問い合わせ窓口も対応をトレーニングされていたから) でもフローレンスの場合、問合せがいっぱいくると、組織のチームもまだ脆弱だから問合せに対応できないとか、最初エリアマーケティングだったので、エリア外からの問合せばかりだと困ってしまうわけですよね。(新聞などのマスマーケティングで記事を出しつつ、とても限られた営業エリア外からの問い合わせは捌けないという意味で)、問い合わせの中身の質を問われるようになってきたんです。 予算と人材は知恵でなんとかなるんですよね。 最後のマスマーケティングとエリアマーケティングの違いというのが根本的なことに気がついていく要因でした。
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