コミュニティのアイデンティティ開発事例VOL.6

井尾佐和子さん × 自己組織Dev. 田原真人

ともに対話をして作るようなあり方

田原
ファシリテーターがデジタルになって長いプロセスをホールドできるようになるとファシリテーターの役割と編集者の役割とが両方混じり合ってくるなという気がします。
さらにデザイン的なところが混ざってくると、多様なスキルが必要になって全体をホールドしながら進んでいく新しい働き方が生まれてくるんだなぁと思っているんです。

このプロセスは、どういう人たちが、何人ぐらいでホールドしているんですか?
井尾
我々のサービスの内容でもあるんですね。CI の開発は。
今回は内側のものを開発しているんですけれども本来は外部のものを開発します。

経営者との対話というものクリエイティブディレクターがリーダーの想いを聞いていったりします。そこはクリエイティブディレクターでもありデザインのアウトプットがどういうものになるかを分かっていながらも経営者のファシリテーションができるというメンバーは必要だと思います。
コンサルティング支店もあるしブランディング支店も持っているようなパーソナリティが必要とされます。ここの役割が世の中であまり知られていないんだと思います。
なのでシンボルをつくりたいとなるとデザイナーさんにあいみつをとって制作してもらおうという発想になってしまう。それだと本当に深いところから経営者の想いだったりとか社員の思いを抽出して可視化できない。
なので何か違うねというところで何回も作り直したりすることになる。結果的にコストもかさむということをよく聞く。だからクリエイティブディレクターであり経営視点を持っていてファシリテーションやコーチングのスキルを持っているまれなキャラクターがチームリーダーになり、その先にファシリテーションする対話メンバーがチームに入って、チームから吐き出してくるという場を作る人、それを編集するスキルを持っているクリエイティブ。今回はイラストレーターでマッピングしていますけれどもミロのようなデジタルツールを使ってまとめていくようなメンバー。そこからライティングも必要となるので文章をライティングするようなメンバー。最後に文章からグラフィックにしていくようなメンバー。そういった4-5人のメンバーが登場する。
できればその4-5人のメンバーが初めから最後まで見届ける。これをプロセスで分けてしまいがちなんです。コスト面とかを考えて。
でもそうじゃなくてともに対話をして作るようなあり方であれば無駄な労力が必要なくなってきたりオンライン化することによって集まって相談する機会を減らせることもできるので開発費用がコストダウンできると思うんですよね。

一緒につくっていくことによってその後の事業開発だったりメインの部分の製作も担う流れになりやすいのでトータルで伴奏することによってここだけを開発するとこれぐらいなんだけど長期的にこれぐらいで進んでいくというコストの考え方が可能になります。
一度に頂いて付き合いがなくなるというわけではなくてコストを均して継続的に契約するという考え方ができます。
そういったクリエイターたちとの付き合い方っていうのもこれから提案していきたいなとこです。契約の形なんかで良いアイデアがなくてクリエイターがパートナーに出会えないということも課題があるのかなと思っています。
田原
社会システムがロゴってこういうもんだよね CI ってこういうもんだよねというように既に決まっているものとして分業していて、
デザイナーにロゴ作らせてのようになっていると旧来の形になるけれども、 ubu みたいに 世の中にないものを自分たちの中から立ち上げて行こうという時にはそこで起こっているものをみんなで一緒に作っていく形にしていくということになるから一緒にやらないと後から JOIN してもプロセスを共有してないとどうやって伝えるかが難しくなる。
よく伝わらないまま世の中ではロボってこういうものだよねという感じで出してくると、ここでは違うものをやろうとしていたんだという思いの共有ができなくて、結局やり直しになる。
そんな時さっき言ってたような5つの役割の人が、バンドを組むようにチームを組んでチームとしてプロセスを共有しながら作っていくほうが、結局は効率もいいし良いものができる。 やってることが違うからそこでやる最適な仕事の仕方も変わってくるし、お金の払い方も一度に払うのではなくプロセスとしてやっていく仕事に払っていくほうが良くなるというように色んなことが変わってくる。

井尾さんがそれを実際にやりながら、変化を感じ取って言葉にしてくださってるんだなと思います。
井尾
今までこれでオッケーだったというサービスとかを、その形をいい意味でパラダイムシフトして、新しい形に変えていくチャンスだとも思います。

CI の開発をコミュニティアイデンティティと置き換えたようにもうちょっとゴニョゴニョっと、解体して立て直すというよりは、粘土のようにゆるやかに変形させていくしなやかさで、アップデートしていきたいです。
世の中の飲食店だったりとか、リアルでしかやってなかったサービスとかも含めて、いろんなものがデジタル化されたり、逆に大事なものはリアルで残したり、そのバランスも再構築する機会なんだなあと思います。

これからはどんどんチャンスに変えていける時代

田原
最後に質問なんですけど、
井尾さんがやっているステージの中でコミュニティ型にしてコミュニティアイデンティティを作ったりとか、仕事のやり方を分業しないで一体となってプロセスとしてやっていくというやり方になって、どういう新しい価値がこれから社会に出現していきそうなのかの見通し教えてください。
井尾
働き方が大きく変わると思います。
今まではこういう働き方ができないから排除となっていました。子育て世代のママや、介護を平行しているライフスタイルの方や、身体に障害をお持ちの方であったりとか、排除されたりケアが排除になったり配慮が排除になったりしてしまっていた部分があるんですけれども、これからだとどこにいても関われたり、どんな時間でも関われたりする。思いさえあれば。それによって働き方と生き方が変わるだろうなあと思います。
今まで機会を奪われて排除されてしまっていた人たちの出番が来ると思います。短時間しか働けないけど集中力を発揮するお母さんとかいらっしゃいますからね。
そういう方たちも今までは尻込みしていた社会だったと思うんですけれどもどんどんチャンスに変えていける時代だと思います。
アトリアでもそういう機会をどんどん作っていけたらなと思います。
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